「そ、そんなことないって……」
そう言いながらも含み笑いを隠せないあたしの気持ちなんて、凪咲ちゃんにはもうバレバレなんだろう。
あたしが怜央くんにちょっかいを出されるたびに、決まって冷やかしてくる。
「あー、ニヤついてる」
「ニヤついてなんかないもん!」
「うそつけー」
色気のないあたしと怜央くんとの関係は、甘くて淡い恋とは皆無の、男女の枠を越えた友達。
それでも、こうして怜央くんと過ごす日常が、ものすごく幸せだった。
今日のLHRは、来月の末に行われる体育祭の実行委員決め。
このシーンも、あたしは小説い書いていた。
来る行事を参考に執筆したから、それは当然なのだけど。
もちろん実行委員は、ヒロインとヒーロー。
だから、現実世界では……。