「……っ」
あたしの指が怜央くんの指に触れてしまい。
「あっ!」
思わず手を引っ込めてしまった。
そのせいで、床に落ちるケース。
やだあたし、過剰な反応なんてして、恥ずかしい。
指が触れたくらいで。
ケースの蓋はきっちりしめてくれていたおかげで、芯が散らばることはなかった。
それをすぐに拾ってくれた怜央くんは、
「ごめんごめん。芯は無事みたい」
あたしのせいで落としたのに、中身が折れてないかまで確認してくれる優しさ。
「あ、手の傷もう完全にわかんなくなったな」
そのとき、ふいにあたしの手のひらに視線を落とした怜央くんは、にっこり笑った。
「うん、怜央くんがちゃんと手当てしてくれたおかげ」
あたしも微笑み返し、改めてお礼を言うと。