怜央くん、そんなにすみれちゃんを見つめないで。


そんな近距離ですみれちゃんの可愛い顔を見て、ドキドキしないの?



そのうち怜央くんもスマホを取りだした。


スマホを近づけあうふたり。


もしかして連絡先の交換してるのかもしれない。


……差がついてしまった。


あたしはまだ、怜央くんの連絡先を知らないから。







ある日の授業中。


配られた英語のプリントを解いてるとき。


隣から、やたらにカチカチとシャーペンをノックする音が聞こえた。


気になって視線を向けると。



「やべぇ」



困ったような顔の怜央くんが。



「どうしたの?」



あたしが声を掛けると、そのままの表情で尋ねてきた。



「心菜、シャー芯持ってる?どれも全滅でさ。そして替えも持ってない悲劇」