───ズキンッ。
そんな可愛い笑顔を見せないで。
あたしが男だったら、瞬間恋に落ちてしまうに決まってる。
「え~、そうなの~?」
オーバーに驚くすみれちゃんの声は、いやでも耳に入ってくる。
スマホに意識を集中させようとしても、完全に耳はふたりの会話を拾ってしまうんだ。
怜央くんが楽しそうに笑っていると、胸がズキンと痛くなる。
……あたしと喋っていてもそうしてくれるから、誰にでもそうなんだろう。
怜央くんは、優しいから……。
すみれちゃんは、堂々と怜央くんの瞳の中に入っている。
瞳を見るだけでドキドキしているあたしとは大違い。
あたしとすみれちゃんの違いは、自分にどれだけ自信があるかなんだろう。
「怜央くんて以外と子供っぽいんだねー」
「西野だって同じだろー」
弾んでいる会話に、モヤモヤが募っていく。



