ドキドキがおさまらないあたしに、彼はニコッと微笑んだ。



「そういえばまだ、名前言ってなかったよね、俺の名前は───」




*

*

*

*

*






「宮内(ミヤウチ)ーーー」



耳元で、野太い声が響いた。


え……?


彼、こんな声だっけ……?


一瞬頭が混乱したけれど、次の瞬間、あたしの手からスマホがサッと取り上げられた。



……一気に頭が現実に戻る。



「…………」



ま、まずい。

まずすぎる、これは……。


おそるおそる見上げると、しかめっ面をした担任の先生。


サーっと顔面から血の気が引いた。


そう、今はLHRの真っただ中。



「俺がありがたい話をしているときにスマホをいじるとは、とんだ度胸だな」