また小説と同じ展開だ。
バクバクと高鳴る鼓動。
願っていたことだけど、あまりにも出来すぎな結果に驚きは隠せない。
「そこ、俺の席なんだけど」
いつまでも元の席で固まったままでいると、新しくこの席になった男子にせかされた。
「あ、ごめんね」
慌てて机を移動する。
今まで廊下側だったせいか、新しい席である窓側は明るくて暖かささえ感じられる。
すごく開放的で気分も上がりそうな席。
……隣が怜央くんという時点で、もう気分は上がりまくりなのだけど。
「お?心菜この席なの?」
あたしに気づいた怜央くんからかかる声。
「う、うんっ」
声が上ずってしまった。
「隣じゃん、よろしく」
その顔が嬉しそうに見えたのは……あたしのうぬぼれかな。



