現実に置き換えたら、あたしと怜央くんが隣になるということ。
だけど、いくらなんでもそんな出来すぎた話があるわけない。
そうは思っても、小説とは関係なしに実際のところ隣になりたくてたまらない。
───怜央くんと隣の席になれますように。
心の中でそっと祈った。
「学級委員、クジ作ってくれ」
頼まれた学級委員の男の子と女の子は、言われた通りクジを作る。
クラス内は初めての席替えにガヤガヤと騒がしい。
みんな席を立って、もうすぐ決まる新しい席に期待を膨らませている。
「大和くんの近くになりたいな~」
「ねーっ」
そんなことを言っている女の子の声が聞こえた。
思わず凪咲ちゃんの顔を見る。
聞こえているはずなのに、涼しげな顔。