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「ふぅ……」
家に帰り、制服を脱いで部屋着に着替えるとベッドに腰かける。
初日から、なんて中身の濃い一日だったんだろう……。
「なんか、疲れた……」
それでもぐったりじゃなくて、心地のいい疲れ。
だって、想像以上の素敵な出会いをして。好きな人まで出来たんだから。
あたしって、こんなに惚れっぽかったっけ……。
全身を映す鏡の前に立って、両手を頬にあてる。
怜央くんを好きになった自分……。
なんだか、昨日までの自分と少し違って見えるのは気のせいかな……。
『心菜の目、澄んでてウソがつけない目をしてる。正直で素直なんだろうなぁって思う』
わあああああっ……。
思い出して、身もだえる。
怜央くんは、誰にでもああいうことをさらっと言う男の子なんだろうか。



