「いや……べつにいるって言われても不思議じゃないけど?」


「……っ、そ、そんなお世辞いいって……っ、だ、だって、あたしなんて凪咲ちゃんとぜんぜん違うし。可愛くもないし女の子らしくもないしいいとこなんてないしっ……」



どう見たって、彼氏なんているわけない。


凪咲ちゃんみたいに可愛い子とは、全然ちがうんだから……。





初恋は、少し遅くて中学1年生のときだった。


同じクラスの、明るいサッカー少年。


仲が良かったわけじゃないし、向こうにとっては単なるクラスメイトくらいの認識しかなかったと思う。


それでも勇気を出してバレンタインにチョコレートを渡した。


ドキドキしながら待っていたホワイトデー。


……お返しはもらえなかった。