「心菜ってさー」



パチンッ、パチンッとホチキスの音が響く教室。


少し間延びした声で怜央くんがあたしを呼んだ。



「……ん?なに?」


「彼氏いんの?」


「えっ、か、彼氏っ!?」



唐突な質問に、持っていた紙の束をばらまいてしまった。


バサバサッ……と派手に。


だって、そんなこと男の子に聞かれたことなんてなくて。



「心菜動揺しすぎ」



怜央くんは笑いながら、あたしが落とした紙を拾い集めてくれる。


恥ずかしいな。あたしったら何やってるんだろう……。



「ってことは、いるんだ?」



はい、とプリントを渡してくれながら言われた言葉に、「へっ?」と間抜けな声が一瞬でたあと。



「い、いないって!いるわけないじゃんっ!」



両手を振って、首も振った。


あたしに彼氏……なんて考えただけで体が熱くなってくる。



「なんで"いるわけない"なの?」


「いるように見える!?」



逆に聞いてしまう。