「ぷっ……」
その姿と、カミングアウトに笑ってしまった。
正直に言ってくれたところに、心が和んで。
そういうことが頭をよぎるのは普通のことだから。
でも……残念ながら、その思惑は通らなかったんだけど。
「それよりも手はどう?痛くない?」
そうやって気にかけてくれていること自体、手当してくれているときは遅刻のことなんて忘れていたんじゃないかと思わせてくれる。
「うん。もうすっかり大丈夫だよ」
やっぱり優しい人には変わりない。
今日初めて会ったのに、こんな風にふたりきりでの作業も全然苦じゃない。
むしろ楽しい。
しばらく他愛もない会話をしながら作業を続けていたけれど、そのうち真剣になって無言の状態が続いた。



