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「ったくよー、担任もひでーよな」



始業式に出なかった罰として、放課後あたしと怜央くんは、居残りで先生のお手伝いをさせられていた。


クラス人数分のプリントを束ねてファイリングする、という作業。



「ごめんね……あたしが転ばなかったら、間に合ってたよね」



怜央くんは、遅刻しないように思いっきり自転車を漕いでたんだろうし。


なのに、ぶつかりもしなかったあたしを保健室まで連れていってくれたせいで、始業式にも参加できなかった。



「いや、正直言うとさ、」



怜央くんは苦笑いしながら頭をかいた。


……なんだろう?



「もう間に合わないとは思ってたんだよね。でも保健室行って手当するっていう正当な理由があったら、遅刻扱いにならないんじゃないかって期待してたんだ」



ごめんっ!

と怜央くんは、首を直角に曲げて頭を下げた。