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「お邪魔しますっ……」
それから一ヵ月後。
今日は退院してから初めてのデート。
どこかへ出かけるより、家でゆっくりしようということになって、怜央くんの家に呼ばれたのだ。
いいよって言ったのに、怜央くんはわざわざうちにまで迎えに来てくれた。
往復させてしまって申し訳ないのに、それすら楽しいと言ってくれた怜央くんにまたあたしは好きが大きくなる。
怜央くんの家は、閑静な住宅街の中にあった。
「そんな緊張すんなって」
ガチガチになっているあたしを怜央くんが笑う。
「そ、そりゃ緊張するって……!」
だって、彼氏の家に来るって……。
凪咲ちゃんからはいよいよだね~なんてニヤニヤしながら言われたし、あたしだってそれなりに色々と心の準備はしてきたつもり。
何があっても、大好きな怜央くんだから大丈夫。



