大好きな怜央くんの名前が。


なくした記憶を全部取り戻して、未来が変わったと信じてこの世界に帰ってきたかったのに。


怜央くんが亡くなる未来を変えようと頑張ったつもりだったのに……。


やっぱり、変えられなかった……。



「怜央くんっ……怜央くん、怜央くん……!」



愛しい人の名前を何度も何度も呼ぶ。



「心菜!」



肩を揺さぶられ、ハッとする。


涙で滲んだ視界に映ったのは、凪咲ちゃん。


……ああ、凪咲ちゃん。


お見舞いに来てくれていたんだ。



「……ねえ……もしかして、怜央くんのこと、思い出したの?」



その声と顔は、いつになく真剣だった。


隣には、同じように神妙な顔つきの大和くんも。



「……うん」



記憶を呼び起こして、戻ってきたのに。


なのに、怜央くんは……死んでしまった。