───ドクンッ……。


怜央くんは、明らかに風船を追っていた。



……嫌な予感がした。



「怜央くんっ!!!」



ダメ、行っちゃダメだよ!


風船は、通りすぎる車の風にあおられながら、上昇と下降を繰り返していた。



「怜央くん怜央くんっ!!!!」



あたしは叫びながらその後を追いかけていく。


ダメ、絶対にダメ!!


視界には、点滅する青信号が入った。


状況は違えど、条件は一度目と一緒。


焦るあたしは叫ぶ。



「怜央くん止まって!!!!」



そんな声は雑踏でかき消されてしまい、怜央くんはどんどん進んでいく。


伸ばした手の先に紐が触れるも、それをすり抜け、風船は"あの"横断歩道をすすむよう運ばれて行った。


もちろん、その後を怜央くんも追う。