「真帆っ……お願いっ……もうやめてっ……」
「……すみれ……?」
はっとしたように目を見開いたのは、藤谷さんだけではない。
あたしもだ。
まさかすみれちゃんが藤谷さんを止めるとは思わなかったから。
「もう……いいの……。あたしからもお願い……。これ以上……怜央くんを苦しめないで……」
すみれちゃん……?
その目からはボロボロ涙がこぼれていた。
「怜央くんがあたしを選ばなかったのは、あたしにそれだけの魅力がなかったからだよ……っ」
肩を上下させながら藤谷さんに向かうすみれちゃんには、相当な覚悟が見えた。
「真帆だってそれはわかってるでしょ?人の気持ちなんて、操作できないことくらい。悪いのは、怜央くんでも心菜ちゃんでもないの」
「でも、あたしはすみれのために」
「それが重いって言ってるの……っ!」
「…………すみれ……」



