「すみれだって、怒ってんだよ。ねえ?」
「……えっ……あ……」
突然ふられたすみれちゃんは、困ったような声を出す。
どうしていいのかわからないような声で。
「……お願いします。もう、こんなことやめてください」
言いあいをしても意味がない。
あたしはひたすら許しを乞うしかないんだ。
「いい気味。そうやってずっと頭さげてれば~」
「……お願いしますっ」
「ふふっ、結局は怜央くんがすみれを振った罰だよ。いっそのことこのままサッカー部にもいられなくなちゃえばいいのに。あ、そうだ、大和くんにも同じこと───」
「もうやめて……っ!!!!!!」
それはすみれちゃんの声だった。
下校のピークを過ぎ、人気のない廊下に強く響き渡った。



