そのとき、頭上でチャイムが鳴ってしまった。
「あ、チャイム鳴ったし」
「待ってよ!」
ラッキーとばかりにここを出て行こうとする藤谷さんを引き留める。
話はまだ終わってないんだから。
「うるさいなーもう。ほら、すみれも行くよ」
けれどあたしの静止を無視して、藤谷さんはトイレを出て行った。
でも、これで終わらない。
終わりになんてしないんだから。
─────放課後。
再びあたしは藤谷さんを捕まえた。
さっきとは違い、下校する生徒で溢れかえる昇降口。
帰る寸前だったところを、なんとか引き留めたのだ。
「……ったく、なんなのよ」
さすがに彼女も人の目を気にしているようで、自ら人気の少ない廊下に足を進める。
腕を組み、斜に構えてあたしをにらみつける様は、そうすることで圧を掛けているようにも思えた。



