フンッと鼻で笑う藤谷さんには、なにを言ってもあたしの想いが届く気配がない。
「別れたら、元通りにしてあげる」
彼女の言うことは嘘ではないだろう。
前回、そう言われたわけではないけど、実際別れて元通りになったのだから。
でもあたしだって負けない。
「あたしは、怜央くんと別れるつもりないから」
毅然として言うと、藤谷さんの目の色が少しだけ変化した。
きっと、あっさり別れると言うとでも思っていたのだろう。
「へ~、じゃあいつまで経っても怜央くんはレギュラー落ちだね~」
「ふざけないでよ!」
あたしたちが言いあうその横で、すみれちゃんはおろおろしていた。



