「あ~もう!ほんっとしぶといなあ!」
声を荒げながら、藤谷さんがトイレへ入ってきた。
……来た。
あの時と一緒だ。
彼女は、その後もあの時と同じように話し続け。
あたしもあの時と同じように、はらわたが煮えくりかえりそうな思いで、藤谷さんの話を聞いていた。
「大人しそうな顔してあざといし。あたし、宮内心菜みたいな子、大っ嫌いなの。怜央くんも山本さんも、宮内心菜と関わってることが罪」
何度聞いても胸が痛む内容だ。
でもこれで、あの時の会話は終わったはず。
今だ。行け。行くんだ。
───バンッ!
自分を奮い立たせた後、あたしは鍵を開けて、勢いよく扉を開いた。
「藤谷さんっ!」
負けないように、声を張り上げて彼女の目をじっと見つめる。
「……っ!?」