思い出した日々をもう一度繰り返すのはとても不思議な感覚だった。


もちろん、話すことは一字一句同じではないだろうけれど、ほぼ、あたしが一度体験したのと同じ流れになっていた。


自分は本当に違う世界から来たことを再認識させられ、このあと起こることも間違いないんだと改めて突きつけられる日々は、とても苦しくつらいものでもあった。


怜央くんの未来、苦労を強いられている原因を知っているだけに、彼と過ごす時間は本当に胸が苦しかった。



そして、その日がやってきた。


前回と、大きく運命を変えなければいけない日が───


この後あたしはトイレで、藤谷さんの話を聞くことになるんだ。


少し体をこわばらせながら、藤谷さんとすみれちゃんがトイレに入ってくるのを待った。


手のひらは汗でびっしょりだ。


その時だった。