学校で話しかけないでというあたしの言葉を守り貫いてくれた怜央くん。
それでも、やっぱり納得できないと、話し合いを求めて、来ないあたしを5時間も待ち続けていた怜央くん。
……彼の言っていることに、間違いはない。
つき合った時に誓ったように、怜央くんはあたしを大切にしてくれていた。
好きでいてくれていた。
だとしたら、別れずに藤谷さんの嫌がらせを止める方法を見つけるしかない。
それは一つだけ。
事実を知ったあたしが、藤谷さんに直接向き合うことだ。
きっと、もうすぐ"あの場面"がやってくるだろう。
藤谷さんの悪行が暴かれる瞬間が。
あたしに出来るだろうか。
でもやらなければいけない。
「今度は……絶対に別れない」
自分に言い聞かせるように力強く口にした。
もう一度、怜央くんの笑顔に逢うために。
奮い立たせるように、こぶしを作ってぎゅっと握り、彼をまっすぐ見据えた。