……怜央くんだ。
モデルのようなその出で立ちは一際目立っていて、道行く人が二度見していく様子は、あたしといるときと一緒。
嘘でしょ。
待ち合わせは昼の12時で、もう夕方5時なのに。
どうして居るの……。
一歩、また一歩とあとずさりする。
すると、念を送ったわけでもないのに怜央くんがふいにこっちを向いてしまい。
まずいっ。
咄嗟にあたしは踵を返し、駆け出した。
───どうか、気づかれていませんように。
「待って!」
けれど、やっぱり怜央くんには見つかってしまっていたようで背後から呼び止める声が聞こえた。
どうしよう。
せっかく行かないで頑張ったのに。全部台無しだ。