お母さんの運転する車で駅前のスーパーに到着する。
日曜日の駅前は、平日とは人の流れが明らかに違いとてもにぎわっていた。
もう5時だ。約束の時間から5時間も経っているから、もし来ていたとしてももういないだろう。
「お母さん。あたしちょっと本屋に行きたいから、先に買い物してて!」
車から降りるとあたしスーパーへは入らず、駅の方へ向かった。
いないことを確認したかったんだ。
そうしたら、このそわそわした気持ちから解放されると思ったから。
駅と一言で言っても、待ち合わせスポットは色々とある。
街灯がともり始めた駅前にはまだたくさんの人がいて、あたしはキョロキョロと目を走らせる。
なのに。こんなに人が大勢いるのに。
あたしの目は、すぐにその姿をとらえてしまった。
「……っ」
カフェの前で、壁に背をつけて長い足をクロスさせている男の人を。