リビングの時計を見上げると、それから1時間が経過していた。
相変わらず、スマホには何の音沙汰もない。
……だからこそ余計に気になるんだ。
「心菜、夕飯の買い物行くから一緒に来て」
お母さんにそう誘われたのは、夕方の4時半頃だった。
「どこに?」
「駅前のスーパーよ」
───ドクンッ。
"駅前"
その言葉に反応してしまった。
「あ……ごめん。お母さんひとりで行ってきてよ」
今は避けたい場所だ。
だからそう言って断ったのに。
「だめよ。昨日も今日もずっと家にばかりいたんだから、少し外に出なさい」
なんの用事もなく、土日家でゴロゴロしていたあたしに呆れたていたようで、有無を言わさず、あたしは外へ連れ出された。



