その手に力が込められる。
怜央くん、やめてよ……。
「どうして急に───」
「急じゃないよ……ずっと思ってたのっ!もう好きじゃないの。だから別れて!」
闇の中、怜央くんの瞳が光ったように見えた。
そこへあたしはたたみかけた。
「あと、学校でももう話しかけてこないで。周りにまだつき合ってるって思われたくないから」
ものすごくひどい言葉を言っている自覚はある。
けれど、これくらい言わないと本気が伝わらないと思った。
もう怜央くんは何も返してこなかった。
手を振り払い、呆然と立ち尽くす彼を置いて、あたしは歩き出す。
やがて足を速め……
絶対に振り向かないと決めて、彼が追いかけてきませんように───そう願いながら。



