どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



その手に力が込められる。


怜央くん、やめてよ……。



「どうして急に───」


「急じゃないよ……ずっと思ってたのっ!もう好きじゃないの。だから別れて!」



闇の中、怜央くんの瞳が光ったように見えた。


そこへあたしはたたみかけた。



「あと、学校でももう話しかけてこないで。周りにまだつき合ってるって思われたくないから」



ものすごくひどい言葉を言っている自覚はある。


けれど、これくらい言わないと本気が伝わらないと思った。


もう怜央くんは何も返してこなかった。


手を振り払い、呆然と立ち尽くす彼を置いて、あたしは歩き出す。


やがて足を速め……


絶対に振り向かないと決めて、彼が追いかけてきませんように───そう願いながら。