深呼吸をして一気に言う。
「……あたし、怜央くんとはもうつき合えない。別れたいの」
これがあたしの出した答えだった。
つき合っていることで嫌がらせをされているなら、別れるのが一番いい。
これしか、ないんだ……。
「えっ……」
掠れた声が闇に落ちる。
なるべく顔を見ないようにして彼の言葉を待った。
伝えたいことは伝えた。できるならもうここから去りたい。
けれど、怜央くんはいきなりあたしの手を掴んだ。予想外だった。
冷え切ったあたしの手に、怜央くんの手の熱さがジンジン伝わってくる。
けれどその手は、確かに小刻みに震えていた。
「暗くて寒い中こんな冷たい手になるまで待ってて、好きじゃなくなったなんて言われても説得力なんてないよ」



