どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



深呼吸をして一気に言う。



「……あたし、怜央くんとはもうつき合えない。別れたいの」



これがあたしの出した答えだった。


つき合っていることで嫌がらせをされているなら、別れるのが一番いい。


これしか、ないんだ……。



「えっ……」



掠れた声が闇に落ちる。


なるべく顔を見ないようにして彼の言葉を待った。


伝えたいことは伝えた。できるならもうここから去りたい。


けれど、怜央くんはいきなりあたしの手を掴んだ。予想外だった。


冷え切ったあたしの手に、怜央くんの手の熱さがジンジン伝わってくる。


けれどその手は、確かに小刻みに震えていた。



「暗くて寒い中こんな冷たい手になるまで待ってて、好きじゃなくなったなんて言われても説得力なんてないよ」