どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



その日の夕方、あたしは学校の自転車置き場にいた。


怜央くんの部活が終わるのを待っているのだ。


陸上部やバスケ部の生徒はもうちらほら姿を見せ始めているのに、怜央くんはまだやってこない。


早く来て、決意が鈍ってしまうから……。


冷たくなった手に息を吹きかけ、逃げ出したくなるような気持ちを抑えるように、足踏みをした。


やがてやってきた彼は、あたしの姿を見て目を丸くした。



「びっくりした、こんな時間まで待っててくれてるなんて」



サッカー部の練習が終わったのが、5時45分。


もう冬時程で、公式戦が近くない限り、夏場よりも早い下校が義務付けられている。


それでも10月下旬ともなると辺りはすでに暗くなっていた。



「うん、話がしたくて」



出来るだけ、いつも通りを装った。


先に見抜かれたら、言いたいことも言えなくなりそうだから。