どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



全てを知ってしまった以上、このままでいいわけない。


だけど、あたしはどうしたらいいんだろう。


サッカー部の顧問に直談判?


マネージャーの子を問い詰める?


色々と考えながら廊下を歩いていると、やっぱり今日もこんな声が聞こえてきた。



「ねえねえ、あの子怜央くんの彼女なんでしょ?」


「あー、あの子か」


「なんでーって感じだよね」



こういう声には、ものすごく敏感。


他のことを考えていても、ちゃんと耳が拾ってしまうんだから。


……そうだよ。


あたしなんて、誰が見たって怜央くんにふさわしい女の子じゃないんだ。


浮かれて、舞い上がって。


自分のことしか見えていなかった。


怜央くんとつき合えて幸せだったのはあたしだけで、そのことでどれだけの人が傷つき不幸になっているかなんて知りもせずに。


そしたらもう考えるまでもない。


答えなんて出ているんだ───