どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



今までも、これ見よがしにひそひそとささやかれることはあったけれど、この声の主はあたしがここにいることを知らない。


ということは、容赦ない悪口を覚悟しないといけない。


体に緊張が走る。



「ほんと、うっとうしいんだよね」



よく聞いてみると、その声は藤谷さんで。


またか……という思いと、やっぱり悲しいという思いが交じり合う。



「怜央くんにはちょっとつらい思いさせちゃってるけど、それも全部すみれのためなんだからね」


「……うん」



小さく同意する声は、すみれちゃんだ。


怜央くんにつらい思い……?


どういうことだろう。



「でも……こんなにその通りになるなんて思わなかった……」



すみれちゃんの声は細く、少し震えているようにも思えた。



「言ったじゃん、絶対そうなるって。サッカー部の顧問、うちのお兄ちゃんに頭上がんないからね~」