今のあたしは、ちゃんと怜央くんを思い出しているのに。
そのために戻って来たんじゃないの?
まだなにが足りないっていうの?
そんなあたしを凍り付かせたのは、彼の次の言葉だった。
「そして、アイツもいない」
えっ……アイツ……。
「いないって……」
言っている意味が分からなくて、頭は混乱するばかり。
「君はまだ、肝心なことを何もわかってないんだ」
眉をひそめてあたしをにらみつけるようなその瞳は、やっぱり怖いと思う。
けれど、今日はどこか寂しさを持ち合わせているようにも見えた。
「記憶は取り戻したんだろ?」
「……うっ、うん」
目の前にいる彼のおかげで、あたしはこの世界がやり直しの世界だと自分でも気づいた。
説明なんてできないけれど、自分が戻ってきていると把握してるから認めざるを得ない。



