焦るあたしとは対照的に、今日も彼は冷静だった。
「出来ないだろうね」
断言され、絶句する。
彼に会えば戻る術が手に入ると思っていただけに、落胆は大きかった。
じゃあ、あたしはいつまでやり直せばいいの?
それはあと、どれくらいなんだろう。
肩を落とすあたしに、彼の声が落ちる。
「君はまだ一番大切なことに気づいてないから」
「大切な、こと……?」
「君がこの世界に戻ってきた本当の理由」
本当の理由?
「え、それは……あたしが、怜央くんのことを忘れてしまったからじゃ……」
「ふっ……」
不敵に笑った彼は、淡々と言い放った。
「いま本当の世界に戻っても、君はまた彼の記憶をなくしたまま目覚めることになると思うよ」
「……どういうこと?」



