「そんなぼーっとしてると、また強炭酸飲ませるぞ」 イタズラに笑う怜央くんに、あたしも笑み返す。 「いいよ。あれ美味しいもん」 ……病室にも持ってきてくれたね。 きっと、あたしが思い出す手がかりになればと願って、そうしてくれたんだろう。 同じ反応はしたのに、あたしは思い出せなかったのだけど。 怜央くん、ごめんね……忘れちゃって。 ……思い出せなくて。