あたしが「木いちご」で書いていた小説は。


書いたことが本当になっているのではなく。


一度経験したことだったからなんだ。


きっとどこかで覚えていて、あたしはそれを文章にしていただけなんだ。


この不思議な現象の理由はわからないけど、怜央くんを忘れてしまったあたしに、思い出すチャンスを与えてくれている……

そう思えば、やり直しの時間はすごく大切な時間だったといえる。



あたしはもう現実の世界に戻れる?


怜央くんを思い出したから。


早く伝えたいよ。


全部思い出したよって。


早く、早く、"今"の怜央くんに会いたいよ……。





そう思いながら夜眠りについたあたしが翌朝目覚めたのは


昨日と変わらず、やり直しの世界だった───