怜央くんとのデートの日、映画館でぶつかったあの人に似ているんだ。
その瞳も、感じた悪寒も。
冷たく、思わず背筋がゾクっとしたのを覚えている。
すると、また今日も彼はあたしから目をそらし、サッと身をひるがえした。
それを見てどうしてか、彼を追いかけなければいけないような気に駆られて……。
あたしはそこからダッシュで階段を駆け下り、さっき彼がいたグランドまで飛び出した。
ぐるりと辺りを見渡すと、ちょうど校舎裏へ消えていくその背中が目に入った。
「あのっ……」
怜央くんには、ひとりでどうにかするなって忠告されたけど、怜央くんだって自分のことで精いっぱいなはず。
頼るなんてできない。