「はぁ……」
やる気が起きず、適当に日誌を書いて職員室へ持って行った。
教室まで戻る途中、ふと、窓枠に腕を乗せて、外の景色を眺めた。
葉っぱはところどころ色づいていて、金木犀も咲いている。
いつの間にか、季節は秋になっていた。
最近は気に病むことが多くて、季節を感じる余裕なんてなかったんだ。
しばらく外を眺めていて、ふと、視線を下に落とした時。
───ドクンッ。
あたしを見上げる瞳と、視線がぶつかった。
それはひとりの男の子。
あの人は……。
いつか、あたしをじっと見つめていた男の子だ。
間違いない。
最近感じる視線は、彼なんだ。
そう直感した直後、その目に微かに記憶の何かが反応した。
あの目、どこかで見たことがある。
……そうだ、思い出した。