「あ……えっとね……あたし、最近誰かに見られてるような気がして……」
「見られてる?それって男?女?」
「うーん……女……いや、男、かな……」
「ん?なにそれ」
首をかしげる怜央くんは、含み笑いする。
怜央くんとつき合い始めて、いろんな女の子からじろじろ見られるようになったのは確か。
怜央くんひとりでも女の子の視線を独り占めしているのに、あたしと怜央くんが連れ立って歩いていれば、違う意味で視線を浴びてしまう。
でも、それとは別の視線を感じるのも事実で。
「心菜、大丈夫か?」
「ん?」
「なんかあっても、絶対に一人でどうにかしようとするなよ?必ず俺に相談する
こと。いい?」
まるで先生のような口調に、クスっと笑いが漏れた。
「うん。ありがとう」
怜央くんの隣。
ここが今、あたしが一番安心できる場所なんだと心から思った。