「おう。ちゃんと試合に出れるようになったら、また見に来てくれよな」
ポン、と頭に乗せられる手。
もちろん見に行くに決まってる。
涙がこぼれそうになってずずっと鼻をすする。
「そのときはまた、俺から誘うから」
「うん、頑張ってね」
それまでは、一生懸命頑張る彼を全力で応援しよう、心にそう誓った時、ふと、どこからか視線を感じた。
引き寄せられるようにパッと顔を振るけど……そこには誰もいなかった。
なんだ、気のせいか。
だけど、最近いつも誰かに見られている気がして仕方ないのだ。
「ん?どうしたの?」
そんな不審な行動は、怜央くんにも気づかれてしまった。
顔を覗き込んでくる彼の眉は下がっている。