あたしに気づいた彼女は、「行こう」と友達の腕を引っ張るようにそそくさとその場から立ち去った。
けれど足が棒のようになっていたあたしは、逃げることもできずその場に立ち尽くしたまま。
あたしは別の意味でそこから動けなくなってしまった。
なんだろう、今の話……。
怜央くんが部活で干されて、大和くんの浮気疑惑。
あたしがツキを下げている。
ぼんやりと彼女たちの話を頭の中で整理して。
……まって。
あたしが怜央くんとつき合い始めたことで、色々なことが悪い方向に行ってるの……?
怜央くんがスタメンを外されて、凪咲ちゃんと大和くんの仲がおかしくなったのは、あたしのせい……?
そんなことあるわけ……ないよ……。
だって、これはあたしが小説に書いたことでもなんでもないし。
何を言ってるんだろう。
そんなことがあるわけないじゃん……っ。



