学校へ着くと、すでに体育館では始業式が行われているようだった。
そのせいで校舎内はとても静か。
初日から大遅刻してしまった。
保健室に入ると、そこもガランとしていた。
「あれ?誰もいないのか?」
「保健の先生も始業式に出てるんだと思います……」
「それもそっか」
歯を見せてニコっと見せたその笑顔に、またドクンと胸が跳ねた。
彼と同じクラスの女の子は、こんな彼と同じ空間でまともに授業を受けられるのだろうか。
あたしなら無理かも無理しれない。
それくらい美形な彼は、手際よく備品をあさると消毒液やらガーゼを集めて持ってきた。
「傷口見せて」
「……はい」
……と。
この場面に既視感を覚えた……。
どこで見たんだっけ?
世の中にはデジャブという言葉があるけど、男の子に傷の手当てをしてもらった覚えはない。



