本当は、もう一つ理由がある。
スタメンを外されて、相当ショックな思いがあるはず。
だから、あたしなりに彼を応援しようと思ったのだ。
「わあ、すげえ!!」
蓋を開いて感嘆の声を上げた彼は、さっそくパイナップルをつまんで口に運んだ。
他には、キウイ、オレンジ、梨。
色どりよく詰めてきた。
「弁当のフルーツって、特別感あって嬉しかったよな」
小さいころを思い出したのか、怜央くんは顔をほころばせた。
「あたしも。なんかワクワクするよね」
「心菜、いいお母さんになるな、きっと」
「……っ」
お母さん!?
それって、「お嫁さん」よりも恥ずかしくてくすぐったい。
「ははっ、顔真っ赤」
「や、やだっ」
怜央くんは本当にあたしをドキドキさせるのが上手だ。
いつまでたっても慣れないよ。



