もう、お昼を食べ終えてしまったようだ。


残りがなくなったのを見て、あたしはランチトートからひとつのタッパーを取り出した。



「怜央くん、あの……もしよかったら」



それを、おずおずと彼の前に差し出す。


菓子パンの紙を丸めていた彼は、ん?と目を見張った。



「あのね、これ、フルーツが入ってるの」


「フルーツ?」



あたしは頷いた。


いつもは学食で食べている怜央くんも、あたしと一緒に食べるときは中庭や屋上で食べる。


お弁当持参ではない怜央くんは、今日みたいに購買のパンだったり、朝コンビニで買ってくる。


だから栄養も偏るかな……と思って、フルーツを切ってきたんだ。



「……食べれる?」


「もちろん食えるよ!大好きだし」


「よかったぁ」



ニコッと笑って受けとってくれた怜央くんを見てホッとする。