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その数日後、あたしと怜央くんは屋上にいた。
夏休みが明けてから、何度かお昼を一緒に取ることにしているのだ。
大和くんと凪咲ちゃんもその時は、どこかでふたりで食べているからお互いに気兼ねもない。
「あー、腹減った」
怜央くんは、もう待てないというように、段差に腰掛けるとパンの包みをビリっと破いた。
あたしもその隣に腰かけて、お弁当を広げる。
「うー、今日寒いな」
「うん、そうだね」
10月に入り衣替えも行われ、吹く風は少し冷たい。
ここから見えるイチョウの葉も、だんだんと色づき始めている。
「今度から屋上じゃなくて、ランチルームにする?」
怜央くんのそんな提案に、あたしはドキッとした。



