わわっ……! 一気に密着する体に、思わず息を止めてしまう。 「じゃあ行くよ」 涼しい声を合図に、ゆっくりと漕がれるペダル。 あああ……どうしよう。 男の子に密着するのなんて、生まれて初めてだし……。 どういうふうに息していいかわからない あたしはもうプチパニック。 そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、頬を切る風は穏やかで。 見慣れた景色が、風と共にゆるやかに去っていく。 手の痛みなんてどこかへ吹っ飛び、あたしはひたすらにドキドキしていた。