『だからだよ、心菜に見に来なくていいって言ったのは』
……あ。
『怜央くんにもプライドがあるんだよ。スタメン落ちしたこと言えないのは。それにせっかく見に来てくれるのに出番ないんじゃ、心菜にも悪いと思ったんじゃないかな』
怜央くんに、来なくていいと言われてへこんでいるのを凪咲ちゃんは知っている。
だからこうして電話をくれたんだろう。
「そっかあ……」
それなら納得できた。
もし逆の立場なら、自分の出ない試合を見に来てもらっても悪いと思うだろう。
『メンバーじゃないって素直に言えなかったのも、カッコつけたかったからじゃない？その気持ちわかってあげなね？』
「うん」
恋愛経験先輩の凪咲ちゃんの忠告に頷いて、電話を終えた。
