今頃、大和くんの試合を見に行ってるはず。


あたしはあんな風に言われた手前行けなかったけれど、凪咲ちゃんはいつも通り行っている。



「もしもし!」


『あ、心菜?』


「どうしたの?今、大和くんの試合中でしょ?」


『うん、たった今終わったところだよ』



まだ外なのか、周りはガヤガヤしている。


きっと、これから大和くんとデートだろうけど、その前に連絡をくれたんだろう。



「どうかしたの?」


『あのね……怜央くんね、今日メンバーに入ってなかったの』



どことなく小声になった凪咲ちゃんから発せられたのは、思わぬ内容だった。



「えっ……そうなの?」



怜央くんはFW。ワントップを張ることもあるくらい期待されているメンバー。


試合に出て当たり前の彼が、控えだったなんて。