どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



「ブレザーにしがみついといて」



それはさすがに無理です。


男の子に密着するなんてとんでもない。



「そ、それはいいです。そんなことできないですっ」



大げさに手を振ると、彼は言いにくそうに言った。



「あー……。てか、そうしてもらわないと落っこちちゃうからさ」



逆に困る、とでもいうように。


……あ、なるほど。


あたしにはつかまるところがない。


胸キュン青春シチュエーションでもよく使う自転車のふたり乗り。


物語のヒロインには何度もさせているのに、実際やるとなったら緊張半端ないことを知った。


もたもたしていると、「ごめんね」そう言って、彼の方からあたしの手を取り腰に回させた。