すみれちゃんが好きなのを先に知っていて、あたしは今、怜央くんとつき合っている……。


女子の世界では、好きな人は先に言ったもの勝ちのようなところがある。

もし、あたしとすみれちゃんが同じグループにいたらそんなことありえないと思う。

きっと、仲間外れにされてもおかしくない事態。


すみれちゃんとは、なぜか目がそらせなかった。


数秒間、沈黙したまま目を合わせるあたしたち。


すみれちゃん……あたしもね……怜央くんが好きなの……。


あのとき言えなくてごめんなさい……。


伝わるわけはないけど、心の中で必死に訴えかけた。



「真帆、もういいよ」



やがて先に目をそらしたすみれちゃんは、なだめるように藤谷さんの手首をつかむ。



「でもさっ」