「最近、心菜さらに可愛くなったよね」



夏休みが開け、すっかり肌の色の変わったクラスメイトたちを眩しく見ていたとき───そんな言葉は投下された。



「えっ!?」



声の主は凪咲ちゃん。



同じようにこんがり焼けた肌の彼女からは、夏休みの充実さが窺える。


きっと、大和くんとたくさんの思い出を作れたんだろう。


それにしても。


凪咲ちゃんの可愛いの基準はなんだろう。


自分に向けられるには不釣り合いすぎる言葉に首を傾げた。



「なんかね~フェロモン出てる~」


「フェロモンって……!」



そんなものがあたしから出るわけないし。


しかも、そんな茶化すような言い方して、信じられるわけないよ。



「っていうのは冗談だけど。表情もすごく可愛らしいし、幸せオーラが出てる。怜央くんに愛されてる証拠だね」


「……っ」



みるみる顔が熱くなっていく。


愛されてる、なんて。