帰りは、怜央くんが家まで送ってくれた。
あれから……。
あたしは怜央くんとキスしてしまったことのドキドキがおさまらず、怜央くんの顔さえまともに見られないでいるのに。
意外と怜央くんは冷静で。
特にいつもと変わらず会話を振ってくるから、あたしは心の内を隠しながらそれに答えるのに必死だった。
……怜央くんにとって、キスはそんなに特別なものじゃないのかもしれない。
そうだよね。
これだけモテる彼のファーストキスなわけがないんだから……。
あたしの家の前まであと数メートル、となったとき。
「なんか……急にあんなことしてごめん」
突然足を止めた怜央くんが、そう切り出した。
あんなこと……?
一瞬その意味が理解できなっかったけれど。
照れたように言うそれに、思い当たるのはただひとつ。



